取締役常務の内藤達也さん
御社の略歴を教えてください。
(内藤)昭和48年に荻野鉄工として始まり、昭和55年から荻野建設になりました。今年の5月1日で50周年を迎えます。
ホテルか美術館のような立派な新社屋に驚きました。
(内藤)2021年の11月1日に移転したばかりです。以前も同じ町内にありましたが、国道沿いに社屋を建てるのが会長の夢だったようです。弊社で推進しているCLT工法の建物なので、これだけの規模の建築が木造で実現することをお客様にも実際に体感していただける良い機会になるかと思います。
CLT工法のメリットとは?
(井石)従来の木造建築よりも耐震性や耐火性、断熱性に優れているところです。CO2排出量削減や森林保全にもつながることから、環境にやさしくSDGsにも貢献もできるというのが最大のメリットです。構造が丈夫なのでスパンの広い設計が可能になり、木造でもできることの可能性が広がります。住宅分野ではまだ価格の面で難しい部分もあるので、そこがクリアできればもっと浸透するのではないかと思います。
工事部の井石彦一郎さん
住宅部門のオーケンホームでは性能面だけではなく、デザイン面にも強いこだわりがあるそうですね。
(内藤)アトリエデザイナーと呼んでいる建築士が細部にまでこだわって、デザイン性の高い提案をしています。しかしデザインが良い=高い家ではなく、コストを抑えて満足度の高い家づくりに努めています。
コストを抑える秘訣は?
(井石)私は工務担当なのですが、弊社ではプランは営業や設計が決め、私たちは現場で図面を見ながら細部まで再現するというように、部署ごとに業務を分担することで効率化をはかっています。また、なるべく材料を共通化したり余った材料を次の現場で使ったりするなど、細かい工夫もしています。小さな努力と工夫の積み重ねで、少しでも低コストで品質の高い家をお客様に提供できているのです。
非住宅の施設なども多く手がけられているようですが、住宅との比率はどのくらいですか?
(内藤)非住宅の方が少し多いぐらいです。社名にも「建設」とあるように、元々大きな建物を建ててきた会社なので、近隣の方には住宅のイメージがなかったと思いますが、ここ10年ぐらいは住宅部門の名称で「オーケンさん」とお声がけいただくようになり、住宅メーカーとしても認知していただいております。
年間の施工棟数は?また、お客様の年齢層は?
(井石)年間で10棟程度です。基本的にはこのあたりの地域をメインに、年齢層は30〜40代の方が多いです。結婚などを機に地元に戻ってきて新築や建て替えで家を建てるというケースが多いようです。
建設から土木まで多くの事業を手掛ける
幅広い事業をされている中で製材事業もされていますが、ウッドショックの影響はいかがでしたか?
(内藤)「オーケンウッド」の名で材木事業もやっています。杉や桧など樹種は限定されますが、自社で木の仕入れから製材までできるため、ウッドショックでも大きく困ることはありませんでした。ありがたいことに集客も落ち込むことはなかったものの、物価高のせいで住宅の価格も上がってしまい、我々としても心苦しいものがありました。
建設事業だけではなく社会活動への取り組みも積極的にされていますね。
(内藤)はい。最近は海外からのインターンシップの採用に積極的に取り組んでおり、フィリピンの大学生が日本語の勉強も兼ねて何名も在籍しています。皆とても真面目で勤勉家で、性格も明るい方ばかりなので僕らも癒されています。インターンの期間が終わると母国に帰ってしまいますが、いつか弊社に戻ってきてくれたらいいなと思っています。
他にも力を入れている取り組みはありますか?
(内藤)SDGsへの貢献のために、社を挙げてペーパーレス化に取り組んでいます。この新オフィスでは、紙の書類を極力減らし、社員のデスクを固定しないフリーアドレスを導入しています。ほとんどの資料はデジタルデータで管理し、オフィスをすっきりときれいに保つことができます。これは環境問題だけでなく、SDGsの「働きがい・経済成長」の項目にも当てはまると思います。
また、建設業の過酷で休みのないイメージを払拭するためにも、しっかりと休みを確保するなど働き方改革にも努めています。
さわやかな県土づくり賞 知事賞を受賞
働き方改革の一環で女性の活躍も推進しているとお聞きしました。
(井石)弊社では女性も現場でバリバリと活躍しています。女性だからとか男性だからと性別で決めつけたりすることはないですね。いい意味でみんな平等で助け合いながらやっています。
近木協のグリーン化の申請についてはいかがですか?
(内藤)住宅はほぼ長期優良でやっているので、ほとんどの家で申請しています。どこよりも近木協を活用しているのではないでしょうか?申請した際も細かくチェックしてわかりやすく戻してくださるのでとても助かってます。
近木協への要望はありますか?
(井石)是非勉強会や講習会をしてほしいです。会員がもっとスキルアップできるような取り組みがあれば嬉しいです。外皮計算などの条件が変わったときに、聞くところもないので日々の業務をしながら自分たちでネットを駆け巡って調べたり試したりしています。最新の情報をまとめて教えてくれたり、計算の仕方を講習していただけたらとても助かります。