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越井木材工業株式会社

会員の種類
賛助会員
主な業種
木材工業
本社
  • 〒559-0026
    大阪府大阪市住之江区平林北1-2-158
  • Tel. 06-6685-2061
WEBサイト
https://www.koshii.co.jp/

INTERVIEW インタビュー

取材:2023年4月25日

※本文中の情報はすべて取材当時のものです

スケジュールの合間を縫って熱い想いを語って下さった越井社長

御社の略歴を教えてください。

2023年で創業133年になります。創業当初は電柱や枕木に使われる木材の防腐処理をしておりましたが、時代の変化とともに、かつて木でできていたものがコンクリートに変わっていったのを機に、住宅の構造部材やウッドデッキなど、屋外で使用する他の分野の木材に防腐技術を転用して現在に至ります。

近木協の理事を務められている岡本銘木店の丹波篠山工場を取材した際に、緑色に加工された御社の木材を拝見しました。

あれが防腐処理を施した木材です。特殊な緑色の液体を木の中まで注入します。注入するのに2時間加圧します。そこから乾燥させたり加工したりするのに3ヶ月程度かかります。防腐効果以外にも、シロアリが木を食べるのを防いだり、菌の影響でキノコが発生してしまうのを防いだりする効果があります。

慎重に薬品を扱う技術開発室の研究員

長い歴史とともにすでに技術は確立されているように思われますが、今もなお新しく技術開発をする必要があるのですか?

防腐技術自体とは別に、それを廃棄するときに環境に及ぼす影響についても考えなくてはいけません。そこで、徐々に害を減らしていくための改良を続けています。例えば、日本の住宅では天井まで防腐処理をしないため、シロアリが天井に上がってしまう危険があり、それを防ぐために土壌処理をするのですが、その際に薬剤を散布する以外の方法はないだろうか…など、常に既存技術にはないアプローチを検討しながら開発に取り組んでいます。

大学との産学連携も活発だそうですね。

はい、今ある技術をさらに改善するためにも、大学の協力を得て共同研究をしています。社内だけで研究をしているとどうしても薬剤のことばかり考えてしまいますが、建築の耐久性について研究している先生方には木の腐り方についての専門的な知見があったり、どんな保存処理がいいかを話し合えたりするので、かなり深いところまで理解が進みます。

SDGsへの取り組みとしてタンクに雨水を溜める様子

雨水は防腐剤などの液に再利用される

タンク自体はサバゲーの障害物として再利用も

SDGsへの取り組みに力を入れていると伺いました。

SDGsは「人づくり」だと考えています。弊社では、大前提として17項目すべてに会社全体で取り組むようにしているんです。食べ物、教育、ジェンダー等、一見私どもの業種とは縁遠く感じられる事柄に対しても、我々なりにできることを考えるのが何より大事なのです。社内のチームでそれぞれ目標を立てて「問題の見える化」をしているのですが、同じ項目でもチームによって掲げる目標が違うので面白いですよ。
基本はボトムアップの姿勢で、上から「こういうことをやりなさい」と指示を出すのではなく、現場から上がってくる意見を吸い上げて、否定せずに取り入れる風土が社内全体に広がっています。
とはいえ、17項目すべてを網羅するのはなかなか難しい。だから些細なことでもいいんです。どんな問題に対しても自分のことだと思って考え、問題意識を持つことで新たな気づきがあり、自分自身の成長にもつながると信じています。

素晴らしいですね。具体的にはどのような取り組みをされているのですか?

SDGsの1番目の「貧困をなくそう」という目標に対しては、エコキャップを集めるという意見が出ました。これによってワクチンや給食と交換ができたり、アフリカに食糧を送ったりできる制度があるんです。
また、6番目の項目にある水の対策としては、雨水を大きなタンクに溜めて再利用をしています。かなり手間のかかることですが、みんな進んでやってくれています。真剣に取り組むあまり、休日に雨が降ったら悔しがる社員もいるほどです。そんな一人ひとりの意識の変化が嬉しいですよね。

社内の各所にSDGsの目標が貼り出されている

経営理念や方針が書かれたクレド「コシイ手帳」

取り組みの成果を共有する場もあるのですか?

2022年の9月にSDGsの発表大会を行いました。関東や九州の各営業所から計11チームが参加して、発表と表彰をしました。いつもは原価低減の発表をするための場なので、幹部が業績の良し悪しについて意見をするのですが、SDGsに関しては地位もキャリアも関係ありません。審査するのもベテラン社員とは限らず、皆フラットな状態。どのアイデアが良かったかなど、若い社員も積極的に意見を言ってくれるので面白いですよ。若い人が普段どんな視点を持っているのかを知るきっかけにもなりますしね。肩書きなどは関係なく、全員平等に1人1票で最優秀賞を決めました。若い社員のモチベーションが上がり、ベテランは刺激を貰えるので、とても有意義な時間でした。
社外にもこの活動を広めたいと考え、今年は木連(一般社団法人大阪府木材連合会)に加盟されている他社さんにも参加いただいて、他流試合をしたいと考えています。

ちなみにこれらの取り組みは業務時間内に行なっているのですか?

もちろん業務時間内でやっています。SDGsが「人づくり」である以上、これも大切な事業の一環です。
結局、良いことをしているとやりがいを感じますし、きっと家に帰ったら家族に自慢したくなると思うんですよね。普通は専門分野の仕事のことなんてなかなか家族に話しませんが、このような取り組みは誰もが同じ目線で話すことができます。そうした些細なことが、いずれ日頃の仕事にも繋がってくると信じています。実際にSDGsに頑張って取り組んでくれている部署は不良率も下がっていますし、全体の意識改善に影響があることがわかります。みんな思いやりの気持ちや向上心を元々持っていて、それを潰してしまうか引き上げるかは会社次第なんです。SDGsがそのきっかけになってくれていると思っています。

会社にいたら普通は利益至上主義になってしまいがちですが、そうではないところを追い求めるきっかけがあることで、みなさんの働き方の改革になっているんですね。

そう信じています。

(左から)岸井さん、北野さん、松本さん

DIYの自社ブランドもあるそうですね。

はい。越井木材の社名ではなく「K-WOODS LIFE」という名前のDIYブランドを立ち上げて展開しています。最近では「カットレスDIY」という商品をホームセンターなどで販売しています。あらかじめカットされた木材が並んでいて、そこから作りたいものに応じて必要な木材を選んで購入することができます。

コロナ禍のウッドショックを経て、国産材について思うことはありますか?

国産材がスムーズに現場に届く仕組みがないことがずっと気になっています。例えば、建築現場で必要な材料と、実際山で木を切っている数量やサイズ、タイミングなどは全然一致していないんです。現状では見込みでやるしかないため、需要が多ければ高く売れますが、需要が減ったら木材が売れず、再造林もできなくなってしまう。林業が先細りしていく中で、50年、60年先の次の世代に対して、私たちの世代がきちんと責任を果たせるのか…と考えてしまいます。川上から川下まで繋がる仕組みさえできれば解決できるのでは、と思っています。

最後に、賛助会員として近木協に期待することはありますか?

住宅業界には様々な問題や課題があると思いますが、国産材の使用を推進する方針で材木業界全体を盛り上げていただければ嬉しいです。是非、一緒にやりましょう!